赤い糸、原作とドラマの深い溝

2009.03.16

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以下内容のネタばれにならないように書きたいと思うのですが、多少なりとも漏れてしまうと思うので、自分で見てから、読んでからという方はご遠慮ください。

2月いっぱいで終了したテレビドラマ「赤い糸」 。テレビドラマの途中で映画を上映するというこれまでにないタイアップ方法で話題を呼びました。深夜枠の割にはテレビドラマもかなり丁寧に作られていたように感じました。絵の作り方も映画と連動しているせいか映画的で、陰影の深めの映像で私好みでした。映画の上映前の12月放送分のクオリティが高かったように感じたのですが。。気のせいですよね(笑)。そんなわけでドラマの出来がよいので、原作も読んでみようかとケータイ小説サイト「おりおん」 を覗いてみたわけですが。。。。
 
いやぁ、こんなにも、違うのかと驚かされました。
 
 
例えば中学時代、テレビドラマでは好きな人と告白の末、キスをする二人だったりするわけですが、小説ではなんとなくノリでキスをして、キスの感覚にハマってみたり、好きという感情があるわけではないけど体をつないでみたり、タバコすったり、レイプされたり、薬に溺れたりと波瀾万丈です。
 
高校時代、好きな人を忘れられずに、熱烈アタックされた人に押された格好でつきあうテレビドラマの主人公に対して、本気で次の恋にのめり込んでいく小説の主人公。結局、小説版でも同じ相手とハッピーエンドになるわけですが、そこにいたるまでの主人公の心の動きは、えー、こんなにも?というぐらい違ったものになっています。
 
 
なんでこうまで変えなくてはいけなかったんだろうと考えてみたのですが、そこにはちょっと不思議な構図があることに気がつきました。
 
 
大人の幻想がそこにあるテレビドラマ
 
誰が見るとも分からないテレビというメディアの限界ということもあるかもしれませんが、それ以上に作り手側の「中高生はこうあってほしい」という願望の投影されたストーリーだったように思います。もちろん原作があるわけで、あまりにも逸脱するわけにはいかないとも思ったでしょう。そのせいでイベントだけそろえて、中身をまったく別のものにしてしまうという奇妙な現象がおきてしまっています。
 
また、それ以上に「赤い糸」という言葉に踊らされすぎていたのかもしれませんねぇ。なんといっても2月29日生まれの2人が、乳児期に同じ保育園に通い、別れ、8歳の誕生日に偶然街で出会い、中学生で同じクラスになり、お互いを好きになり、周りの事情もあって別れ、16歳の誕生日にまた8歳のときに出会った場所で会う。まあ赤い糸なわけですが(笑)。どうも美しくまとめようとするあまり、運命の大安売りになってしまっているような気がして。。。キャッチコピーが「純愛はキレイゴトじゃない。」だったんですが、もう立派にキレイゴトでした。いや、嫌いじゃないですけどね。こういうの。
 
 
中高生のリアルがそこにあるケータイ小説
 
それに引きかえ小説のほうは、子どもを持つ親ということもあり、これはさすがに読ませたくない。正直そんな内容でした。でも、そこにいる主人公はきちんと今を生き生きと生きています。読んでいると実際の普通の中高生はこんな体験はしないと思う(思いたい)のですが、友達なり、友達の友達あたりにはこういう経験をしてしまう子がいるというのが彼らのリアルなんだとも思うわけです。そういう意味では私の中高とそんなに違いはないんですが、文字になり、それを読むという行為が大人をビビらせるのでしょうね。それもこっそり読めるケータイでというところがまた、いやぁな気分にさせるわけですよ。
 
作者の力量なのか、力がないから生まれた傑作なのか、正直このあたりはよくわかりません。物語というよりは主人公の数年間の日々の羅列という作為性が感じられない作りが、逆にリアルな印象を与えるのかもしれないとまで思うわけで。。。この辺りは伏線てんこもりにして、うまくまとめあげてしまったテレビドラマと雲泥の差があるように思いました。そう、人生は伏線を回収してまとまるものではなく、伏線をまきちらかして、回収しないで生きていくわけですからねぇ。物語としてはテレビドラマが上かもしれないけど、先の読めないドキュメンタリー的な展開、そのときそのときのリアルな心の描写は、小説のほうが圧倒的に上でした。もうこれはほんとに圧倒的です。
 
 
それでもテレビドラマな世界であってほしい
 
男だから女に幻想を持ちたいのかもしれません。大人だから子どもがこうあってほしいと願うのかもしれません。でもね、それでもこういうものは、テレビで、家族そろって見ることの出来るような、そんな倫理観の中に収まってほしいと思うのです。人気があるから、アクセスがあるから、儲かるからという理由でこういうものを提供する側は、自分たちがしらずにそれを壊そうとしていることに気がついているでしょうか? いやとっくに壊れてる? もちろん壊れているかもしれません。でも壊れているなら、せめて壊れていない世界を見せてあげたいなぁ。そう思ってしまうのです。
 
 
 
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