宮崎駿が語る情報技術との関わり方「ぼくには、鉛筆と紙があればいい」

2012.02.19

熱風

スタジオジブリが発行する小冊子「熱風」2010年7月号に掲載された宮崎駿監督へのインタビュー。

iPad特集号ということで、高畑勲をはじめ、いろんな方がiPadについて語っているのですが、宮崎駿はiPadについて語るのが嫌だったみたいで、一人だけ「情報技術との関わり方」という形で語っていたのが印象的でした。久しぶりに読み返してみたら、当時よりグサッと心に突き刺ささったので、自戒を込めてご紹介します。

 

宮崎駿インタビュー「ぼくには、鉛筆と紙があればいい」

 
インタビューは宮崎駿のiPadへの嫌悪感が全面に出た形で始まりました。

あなたが手にしている、そのゲーム機のようなものと、妙な手つきでさすっている仕草は気色わるいだけで、ぼくには何の関心も感動もありません。嫌悪感ならあります。その内に電車の中でその妙な手つきで自慰行為のようにさすっている人間が増えるんでしょうね。

電車の中でマンガを読む人が増えた時も、携帯電話を使う人が増えたときもうんざりしてきたんだそうです。

 
iPadがあれ、どこでも仕事が出来ていいとか、持ち歩けて便利じゃないかと利便性について語るインタビュアーを一刀両断

出来ない人間は、何を持ったって出来ませんよ。

道具には、鉛筆と紙とわずかな絵の具があれば十分です。

あのね、誰にでも手に入るものは、たいしたものじゃないという事なんですよ。本当に大切なものは、iナントカじゃ手に入らないんです。

 
それでもいろんな角度から食い下がるインタビュアーに、宮崎駿はじゃあ知りたいことをそのiナントカで調べてみて欲しいと尋ねます。

安宅型軍船の漕手の給水はどうやっていたのか? めしはどうしてたのか? 行動中に漕手の交代は出来たのか? 櫓がぶつかったら何がおこるのか?

どこにも出てませんよ。確信できます。あなたのiナントカで出てくる画像なんぞ参考になりません。

ぼくが知りたいのはソフトの部分なんです。それは、他のいろんな記録や文書から推測するしかないんです。

 

最後は、iPadがあれば文献を調べて取り寄せることも出来ると言うインタビュアーを一刀両断。

あなたの人権を無視するようですが、あなたには調べられません。なぜなら安宅型軍船の漕座の雰囲気や、そこで汗まみれに櫓を押しつづける男達への関心も共感にもあなたは無縁だからです。世界に対して自分で出かけていって想像力を注ぎこむことをしないで、上前だけをはねる道具としてiナントカを握りしめ、さすっているだけだからです。

 
気がつけばインプットがネット中心になってしまって、自分で出かけていって考える体験が減っている私には痛い痛い。何かを見た気になって満足してしまうのはよくない傾向だなぁと思いつつも、ついついネット上を渡り歩いてしまうんですよね。

 

あなたは消費者になってはいけない。生産する者になりなさい。

このインタビューの最後にある宮崎駿の言葉を胸に刻んで、誰かが作ったものを消費するばかりでなく、自分からもっともっと生み出していけるような生活をしていこうと思います。

このインタビューはiナントカでいつでも読めるように、スキャンしてEvernoteに入れてみたりしましたけども(笑)

関連してるかもしれない記事

Pocket